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DESTINO PORTO ALEGRE

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南米で最大の国、ブラジルの南部〈ポルト・アレグレ〉という街に来た。

ブラジルへの入国はスムーズで、夜行バスで私たち乗客が寝ている間にバスのドライバーが入国手続きをしてくれたようだ。朝、目覚めてみると、いつの間にかバスは悠々とブラジルの大地を走っていた。

モンテビデオのブラジル領事館で“1800ウルグアイ・ペソ(日本円でおよそ¥8000)”を支払い、30日間ブラジルを旅行できる権利〈ツーリスト・ビザ〉を得た。そしてブラジルを必ず出国するという証明のために、クレジットカードとバスの“Around Ticket(往復チケット)”の提示も求められた。

私はブラジルからヨーロッパのスペインへ渡るつもりだった。だからウルグアイに戻ってくるつもりはないし、ブラジルでスペイン行きの航空券を買うつもりだった。〈モンテビデオ⇔ポルト・アレグレ〉間の往復チケットは、私にとっては何の意味のない、ただブラジルに入国するためのただの一枚の紙切だった。復路分のチケットは、いずれ捨ててしまうだろう。

ブラジルに入り言語がスペイン語からポルトガル語に変わった。バスの乗客もどことなく明るい印象を受ける。風景も気候もウルグアイとはそう変わらないが、褐色の肌をしている人間が増えて人種が混ざり合っているようだった。そして貧しい人も見受けられる。

〈ポルト・アレグレ〉は“陽気な港”という意味で、サッカーのロナウジーニョもこの街の出身だと後になって知った。ポルトガル語はスペイン語と明らかな違いがある。スペイン語圏を約一ヶ月旅をしてきて、少しばかりスペイン語を覚えて使ってきたが、初めて聞くポルトガル語はまるでフランス語のようなアクセントに聞こえた。ブエノス・アイレスで出会ったフランス人のラーラが、“スペイン語よりポルトガル語の方が分かりやすいわよ”と言っていたのを思い出した。

“また新しい国にやってきた…”、ポルト・アレグレに着いてタクシーに乗り込み、運転手と話したとき思った。そして一からポルトガル語を覚えようと思った。この街で私がまずしたことは、〈livro=本屋〉を探して英語・ポルトガル語の辞書を買うことだった。

しかし、スペイン語を覚えたことは無駄ではなかった。
“where”→“donde”→“onde”であったり、“ビール”→“セルベッサ”→“セルベージャ”だったりして、スペイン語から多少変化したものがポルトガル語だった。スペイン語もポルトガル語も私にとってはそう大して変わらないものだったし、スペイン語圏に近いこの街は、まだまだ何とかスペイン語が通じたのだ。

ホテル近くの小さな商店でアボガドを買った。お店のおじさんは“もう傷んでいるから…”とサービスをしてくれた。アボガドを日本の“醤油”を付けて食べた。旨かった。この街はまだまだ寒い。早くサンパウロとかリオとか、ブラジルらしい熱い街に行きたいと思った。サンパウロには東洋人街がある。久しぶりの日本食に在りつくのが楽しみだった。

ホテルの部屋でポルトガル語の勉強をしていると、“carta=カルタ”という単語が目に着いてハッとした。カルタはポルトガル語で手紙という意味だが、日本の“かるた”もきっとその昔にポルトガルから伝来された外来語だろう。そう気づいた瞬間、ポルトガル語がとても身近に思えた。決して遠い国の言葉ではないのだ。

明日はバスで13時間かけて〈Foz do Iguacu〉へ向かう。ここではユネスコ世界遺産である“イグアスの滝”が観られる。ここまで来て行かない手はないだろう。南米で最後に旅したブラジル。この国で一ヶ月過ごして、私はヨーロッパへ飛ぶことになる。

ブラジルが大好きになる旅の始まりだった。
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by francis-sp | 2008-12-29 23:11 | A day in the life

Montevideo, Uruguay

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ウルグアイの首都〈モンテビデオ〉に来ている。

“ウルグアイ”、この国に対してどんなイメージを持つだろうか。私はこの国のサッカーが強いということくらいしか知らない。南米大陸の地図を見てもアルゼンチンとブラジルの大国に挟まれてあまり存在感がない。多くの日本人が“ウルグアイ”について話すことは一生に一度あるかないかであろう。

アルゼンチンのブエノスアイレスを去りウルグアイにやって来た理由は、ブラジルの〈ビザ〉を取得するためだ。ブラジルは南米大陸で唯一、ビザが必要な国だ。ブラジルには必ず行きたいと思っていて、入国審査でイエローカードの提示を求められる場合もあるらしく、日本であらかじめ〈黄熱〉の予防接種をしてきた。

しかし足止めを喰らっている。今日は日曜日だったのだ。ブラジル領事館は休みで、この小さなモンテビデオの町も安息日ということで徹底的に休んでいる。だからこうして海沿いを散歩して海を眺めたり、釣りをしている人々と挨拶をしたり、草サッカーをしている若者と話したりして過ごしている。聞くと隣国パラグアイからチームを呼んで試合をしているという。南米では国際試合が少しも珍しくない環境なのだろうか。

同じユースに泊っているドイツ人のパトリックが、年代物のベンツ車が町を行きかっているのを見て驚いていた。先進国では忘れ去られたクラシック・カーがウルグアイでは現役で頑張っている。彼は自分がベジタリアンだと言っていた。ヒップホップが好きでコネクションを作るために南米を旅しているらしかった。港に積まれたコンテナがドイツ行きだと知って嬉しそうにしていた。

この町は特別に観るものはなくて、半日あれば町を歩いて回れてしまう。
だけどこうして日がな一日、特に何をする訳でもなく、天気も良いので散歩して過ごすのも悪くない。モンテビデオは首都であるが、どこかのんびりした印象を受けた。

ブラジルの旅の準備もしなければいけない。ブラジルのガイドの類を私は持っていなかった。ブラジル人旅行者に頼んでブラジルの地図をノートに描いてもらって、それに主要な都市を書き入れてもらった。それを見ながら“サルバドール”、“トランコーゾ”、“アパレシーダ”、“イグアス”、“パンタナール”など私が気になっている土地の位置関係を教えてもらった。これで一先ず、バスのチケットを買う目安になるだろう。また行った先々で新しい情報を集めればいい。

わずかではあるがその国の言葉を覚えて、自分で旅を作り上げていく。それは時間が掛かるし手間も掛かるが、その楽しさにあらためて気づきはじめた。

ユースにはバングラデシュの5人の男たちも寝泊りしていた。自国の衣服に身をまとい、自分たちで食事を作っていた。彼らから旅行者に話しかけることはなく、その姿はどこか“異質”な存在だった。私が屋上でウィスキーを飲んでいると彼らの一人と出くわして仲良くなれた。ビジネスで40日間もモンテビデオにいるという。彼らはイスラム教徒であるが、酒もタバコも“外国だからノープロブレム”という理由で好きにやっていた。自分の国だったら逮捕されると言っていた。

聞くとやはり一日5回、〈メッカ〉に向かって祈りを捧げるという。何を祈っているのか尋ねると、イスラム教徒だけではなく世界中の人々の平和と幸せを祈っていると、一人の年長者が言っていた。どの国のどんな民族でも、どんな宗教でも、人間の願いはただ一つであり、それはずっと変わらない。今夜9時に最後の祈りをするというので、“祈るところを見せて下さい”とお願いすると快く応じてくれた。

彼らは二段ベッドにそれぞれ祈り用の布をひいて、時間きっかりに祈りを始めた。立位で手を広げ祈りを唱え、ひざまずいたり、額が床に着くほど頭を下げたり、、はじめて見るイスラム教の祈りは静かで、心が洗われていくようだった。私は5人の祈りを静かに眺めていた。“サラーム・アライクム”、彼らからイスラムの挨拶を教わった。

その後、彼らは夕食に誘ってくれた。チキンとジャガイモとライスのシンプルなもので、彼らを倣って右手で食べた。異国に来ても、自分たちにとって大切なものはいつでもどこでも普遍的であり、それを変えようと思うことがないのだろう。そのようなものを持っていることは、とても素晴らしいことだと思った。

この旅では、モロッコ、トルコ、シリア、イランとイスラム教の国を廻ることがあった。これらの国々でも私はあらゆる土地でイスラム教の人々の親切を受けることになった。彼らには旅人や困った人を助けて当たり前という〈ホスピタリティー〉の精神がある。言葉も何もかもが通じない国を旅できたのは、その恩恵を受けられたからだと私は思っている。そして彼らと同じように、私もそのような精神を持つことが出来たら、どんなに心が豊かでいられるだろうと思った。

モンテビデオでの彼らとの出会いは、そんな出会いの始まりだった。
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by francis-sp | 2008-12-21 10:00 | A day in the life


音楽、旅、本、サッカー、日常などをテーマにfrancisが気ままテキトーに語っています。本でも読むような感じで、ゆっくり見てくれたら嬉しいです。


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