ヴァラナシ最初の朝は快晴だった。
カーテンを開けて外を眺めていると、窓のすぐ下に粗末なバラック小屋が建てられているのに気が付いた。そこでは貧しそうな家族が生活しているようだった。
朝のガンガーを眺めてみたくて〈ハリスチャンドラ・ガート〉に行ってみた。
朝のガンガーはとても美しく、そしてヴァラナシの古い街並みも美しかった。火葬は行われていなかったが、昨晩の火はまだ燻っていた。
今日こそはヒンドゥー教の女神であるカーリーを見たい、そう思った。
ガンガーに沿って点在しているガートもたくさん巡りたかったが、『深い河』でそうだったように、まずはヒンドゥーの女神を見たいと思ったのだ。
しばらくガンガーを眺めていると、“日本人か?どこのゲストハウスに泊まっているんだ?ボートに乗らないか?”と男が声を掛けてきた。
“ボートには乗らないけど、カーリーの寺院ってどこにあるか知ってる?”と訊いてみると、
“ああ知ってるぞ。ヴァラナシには大きい寺院と小さい寺院があるんだ。大きい方はここから遠いけど、小さいのはお前のゲストハウスのすぐそばにあるぞ…”
“本当か…?!”
彼曰く、僕が泊まっているすぐ近くにカーリーの寺院があるらしいのだ。
ゲストハウスに戻って、うろうろと寺院らしい建物を探していると、さっきの男が“ここだ、ここだ!”と教えてくれた。
なんとゲストハウスの目の前にカーリーの寺院があったのだ。