Montevideo, Uruguay

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ウルグアイの首都〈モンテビデオ〉に来ている。

“ウルグアイ”、この国に対してどんなイメージを持つだろうか。私はこの国のサッカーが強いということくらいしか知らない。南米大陸の地図を見てもアルゼンチンとブラジルの大国に挟まれてあまり存在感がない。多くの日本人が“ウルグアイ”について話すことは一生に一度あるかないかであろう。

アルゼンチンのブエノスアイレスを去りウルグアイにやって来た理由は、ブラジルの〈ビザ〉を取得するためだ。ブラジルは南米大陸で唯一、ビザが必要な国だ。ブラジルには必ず行きたいと思っていて、入国審査でイエローカードの提示を求められる場合もあるらしく、日本であらかじめ〈黄熱〉の予防接種をしてきた。

しかし足止めを喰らっている。今日は日曜日だったのだ。ブラジル領事館は休みで、この小さなモンテビデオの町も安息日ということで徹底的に休んでいる。だからこうして海沿いを散歩して海を眺めたり、釣りをしている人々と挨拶をしたり、草サッカーをしている若者と話したりして過ごしている。聞くと隣国パラグアイからチームを呼んで試合をしているという。南米では国際試合が少しも珍しくない環境なのだろうか。

同じユースに泊っているドイツ人のパトリックが、年代物のベンツ車が町を行きかっているのを見て驚いていた。先進国では忘れ去られたクラシック・カーがウルグアイでは現役で頑張っている。彼は自分がベジタリアンだと言っていた。ヒップホップが好きでコネクションを作るために南米を旅しているらしかった。港に積まれたコンテナがドイツ行きだと知って嬉しそうにしていた。

この町は特別に観るものはなくて、半日あれば町を歩いて回れてしまう。
だけどこうして日がな一日、特に何をする訳でもなく、天気も良いので散歩して過ごすのも悪くない。モンテビデオは首都であるが、どこかのんびりした印象を受けた。

ブラジルの旅の準備もしなければいけない。ブラジルのガイドの類を私は持っていなかった。ブラジル人旅行者に頼んでブラジルの地図をノートに描いてもらって、それに主要な都市を書き入れてもらった。それを見ながら“サルバドール”、“トランコーゾ”、“アパレシーダ”、“イグアス”、“パンタナール”など私が気になっている土地の位置関係を教えてもらった。これで一先ず、バスのチケットを買う目安になるだろう。また行った先々で新しい情報を集めればいい。

わずかではあるがその国の言葉を覚えて、自分で旅を作り上げていく。それは時間が掛かるし手間も掛かるが、その楽しさにあらためて気づきはじめた。

ユースにはバングラデシュの5人の男たちも寝泊りしていた。自国の衣服に身をまとい、自分たちで食事を作っていた。彼らから旅行者に話しかけることはなく、その姿はどこか“異質”な存在だった。私が屋上でウィスキーを飲んでいると彼らの一人と出くわして仲良くなれた。ビジネスで40日間もモンテビデオにいるという。彼らはイスラム教徒であるが、酒もタバコも“外国だからノープロブレム”という理由で好きにやっていた。自分の国だったら逮捕されると言っていた。

聞くとやはり一日5回、〈メッカ〉に向かって祈りを捧げるという。何を祈っているのか尋ねると、イスラム教徒だけではなく世界中の人々の平和と幸せを祈っていると、一人の年長者が言っていた。どの国のどんな民族でも、どんな宗教でも、人間の願いはただ一つであり、それはずっと変わらない。今夜9時に最後の祈りをするというので、“祈るところを見せて下さい”とお願いすると快く応じてくれた。

彼らは二段ベッドにそれぞれ祈り用の布をひいて、時間きっかりに祈りを始めた。立位で手を広げ祈りを唱え、ひざまずいたり、額が床に着くほど頭を下げたり、、はじめて見るイスラム教の祈りは静かで、心が洗われていくようだった。私は5人の祈りを静かに眺めていた。“サラーム・アライクム”、彼らからイスラムの挨拶を教わった。

その後、彼らは夕食に誘ってくれた。チキンとジャガイモとライスのシンプルなもので、彼らを倣って右手で食べた。異国に来ても、自分たちにとって大切なものはいつでもどこでも普遍的であり、それを変えようと思うことがないのだろう。そのようなものを持っていることは、とても素晴らしいことだと思った。

この旅では、モロッコ、トルコ、シリア、イランとイスラム教の国を廻ることがあった。これらの国々でも私はあらゆる土地でイスラム教の人々の親切を受けることになった。彼らには旅人や困った人を助けて当たり前という〈ホスピタリティー〉の精神がある。言葉も何もかもが通じない国を旅できたのは、その恩恵を受けられたからだと私は思っている。そして彼らと同じように、私もそのような精神を持つことが出来たら、どんなに心が豊かでいられるだろうと思った。

モンテビデオでの彼らとの出会いは、そんな出会いの始まりだった。
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by francis-sp | 2008-12-21 10:00 | A day in the life


音楽、旅、本、サッカー、日常などをテーマにfrancisが気ままテキトーに語っています。本でも読むような感じで、ゆっくり見てくれたら嬉しいです。


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