LAN CHILE

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〈プエルト・モン〉という港町から、飛行機でさらにチリの南へ〈プンタ・アレーナス〉に向かう。

パタゴニア…
まさかこの自分が行くことになるとは、思ってもみなかった。

プエルト・モンから以南、どんな気候でどんな風景が広がっているのか、私には想像もつかない。そしてどんなルートでパタゴニアを周り、アルゼンチンに向かうのかも分からない。気の向くままに自由な旅で、この先々のことは考えない旅だ。

プエルト・モンではパタゴニアへ向かう準備をした。
南半球は冬が近づいていて、さらに南のパタゴニアは寒いであろうから、手袋と厚手の靴下を買った。そしてワインを飲むためのコップや洗面道具を買い足した。この小さな町を歩いていると港町特有の寂しさを感じる。観光客も少なく町は冬ごもりの準備をしている印象を受ける。町を歩く老若男女ともに、どこか一種の“暗さ”があり、それが町全体に充満している。東洋人の私を見つけた土産物のおばさんが、空手の真似をして一人喜んでいた。

そんな町を数時間歩いて、特に気を引くものがないと分かると〈Hospedaje=民宿〉に戻ってきてしまう。宿を探すのも大変だった。シーズンオフのためか営業しているのは数軒だけだったのだ。宿に泊っているのは私だけで、女主人と特に話すわけもなく、私は部屋で静かにテレビを見ている。スペイン語が分からないからサッカーを観ている。チリワインを一本空けた。

しかしどんな大都市や素晴らしい観光地であっても、こういった何でもない田舎で過ごせる方が楽しかったりする。その町の寂しい風景や人々の顔を眺めている方が良かったりもする。決して悪くない。

それでも明日にはパタゴニアへ発つことを決心する。
冬が足音を立てやってきている。ゆっくりもしていられないのだ。

飛行機から景色を眺めると、不意に現れる湖や雪を被った山々に驚く。地図を見てもそれが何という名前なのか私には分からない。やがて地図を見るのをやめてしまう。写真に残そうとカメラのファインダーを覗いても、風景が大きすぎて撮ることをあきらめてしまう。そんな私と景色とは関係なく、キャビン・アテンダントのアドリアーノさんは自分の業務をさっさと済ませると、乗客と楽しそうに立ち話をしていた。雲の上はいつも快晴だ。

飛行機はそろそろパタゴニアの旅の拠点〈プンタ・アレーナス〉に着くらしい。マゼラン海峡も近いという。眼下はパタゴニアだ。強い風に吹かれているのだろうか、禿げた木々が地面に這いつくばるように生えているのが見える。平原には草が広がっていて、牛や羊が生息している。明らかにチリの北とは違う風景だった。

荒涼とした大地が広がり、日本の裏側へ、南米大陸の果てに居る感じがする。雨が降ったり、空は曇り、冷たい風が吹いている。この土地にも、ここに暮さなければいけない人々がいる。

こういうところに来てみたかった。圧倒されるような自然を見たかったし、そこに住む人々を見たかったし、日本では見られない景色を見たかった。ニンウエもプエルト・モンも知らない土地だった。でも旅は続いている。道は続いている。道は自然と広がっていく。
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by francis-sp | 2008-11-16 13:07 | A day in the life


音楽、旅、本、サッカー、日常などをテーマにfrancisが気ままテキトーに語っています。本でも読むような感じで、ゆっくり見てくれたら嬉しいです。


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